お役立ちコラム

自己破産と離婚の関係について

 

自己破産についてご相談をいただくとき、「離婚」が関係したご質問をいただくことがあります。このコラムでは、自己破産と離婚についてよくご質問いただくことをまとめたいと思います。

 

配偶者がした借金を背負わなければならないのでしょうか?

 

配偶者が自己破産した場合、夫婦だからということを理由に支払い義務が生じるわけではありません。ですので、原則として保証人や連帯保証人になっていなければ、支払う義務はありません。

 

配偶者の保証人になっているが、離婚して借金から逃れたい

 

自己破産をするとその支払い義務は保証人に及んでしまいます。

 

配偶者の保証人になっていれば、配偶者が自己破産してしまうと、その支払い義務が生じます。その請求から逃れるために離婚をしようと思われる方がいらっしゃいますが、夫婦であることと、保証人であることとは別問題です。つまり、離婚をしたとしても保証人であることには変わりありません。したがって、配偶者の自己破産の被害から逃れたくて離婚をしても、保証人であることに変わりないので、支払い義務は残ります。

 

自己破産したことが離婚の原因になるのか

 

民法770条に離婚事由の規定がありますが、そこに自己破産は規定されていません。ですので、自らが自己破産したからといって、即座に離婚請求が認められてしまうわけではありません。逆に、配偶者の自己破産を理由に離婚することができるというわけでもありません。自己破産した要因が、自らの浪費で、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条5号)にあたるような場合には、離婚が認められる場合もあります。

 

保証人にさえなっていなければ、全く支払わなくて済むのか

 

夫婦には「日常家事債務」というものがあります。その日常家事債務に含まれる債務については、保証人になっているかどうかに関わらず、支払わなければなりません。まず、日常家事債務とは何なのか見ていきましょう。

 

日常家事債務とは?

 

日常家事債務とは 「日常家事債務」とは、夫婦が連帯して責任を負わなければならない日常家事において生じた債務のことです。(民法761条)

 

日常家事とは ここでいう日常家事とは、未成熟児を含む夫婦が日常の共同生活を営む上で必要とされる一切の事務のことです。

 

具体的には、

①食費や光熱費
②保険・医療費
③子供の養育や教育に関する行為
④家具の購入

などがこれにあたります。

 

つまり、上記①~④のような債務は、夫婦のどちらか一方に生じた債務であっても、共同して支払わなければならないということです

 

そして、、たとえ離婚をしたとしても、その債務は残ります。ですので、夫婦の一方が自己破産をしてその支払い義務から逃れたくて離婚したとしても、その債務が日常家事債務であれば、離婚後も支払っていかなければならない、ということになります。

 

どういうものが日常家事と判断されるか

 

日常家事とひとことでいっても、さまざまなものがあります。その判断基準となっているのは以下の2つです。

 

日常家事にあたるかどうかの判断基準 (判例)
(ⅰ)夫婦の職業、資産、収入などの内部事情や、主観的意思
(ⅱ)法律行為の種類や性質などの客観的要素

 

上記の(ⅰ)と(ⅱ)のバランスで日常家事にあたるかどうかの判断がなされます。

 

どのような行為が日常家事となるかかどうかの比較

 

日常家事の範囲内=支払い義務が生じる 日常家事の範囲外=支払い義務が生じない
  • 食費・光熱費
  • 保険・医療費
  • 子供の養育費・教育費
  • 家具の購入
(ⅰ)(ⅱ)のバランスが欠如した行為
具体例
夫の月収30万円で、23万円の子供の学習教材クレジット契約 夫の月収7万円で、42万円の太陽熱温水器クレジット契約
具体例
夫の年収500万円で、60万円の子供の学習教材クレジット契約 夫の失業中に、22万円の布団クレジット契約

2014.08.05

カテゴリ:

カテゴリ

月別

最後まで同じ担当者が親身に対応いたします。お一人で悩まず、まずはご相談ください。

ページの先頭へ