自己破産すると車はどうなる?
自己破産のデメリットとして、財産を手放さないといけない可能性がありますが、車はどうでしょうか。
ここでは自己破産をしたときに、車を手放すことになるのかどうかをみていきます。
1、車のローンが残っている場合
ローンが残っている場合、ローン会社に自動車の所有権が残っていることが通常です。この場合、ローンの支払いをやめてしまうと、所有権に基づいて自動車の引き揚げを要求されてしまいます。
ですので、自動車のローンが残っている状態で自己破産すると、車は手放すことになります。
2、ローンは残っていないが資産価値がある場合
自動車の資産価値が20万円を超える場合、財産として認められるので売却しなければいけません。(※自由財産拡張制度あり)
3、ローンが残っておらず、資産価値もない場合
自動車の資産価値が20万円に満たない場合、財産として認められないので自己破産後も所有を認められます。
では、2で見たように、車に資産価値があると認められると、絶対に手放さないといけないのでしょうか?車を処分しないで済む方法として、自由財産拡張制度という手続きがあります。
自由財産拡張制度
自由財産拡張制度というのは、破産者の生活状況等を考慮して、自由財産の範囲を拡張する制度です。経済的に再生するためにその資産(車)が必要だと判断されれば、自己破産後も車を手放さずに所有しておくことができます。
自由財産拡張制度の手続きは各裁判所によって異なります。ここでは大阪地裁における手続きについてみていきます。
1.自由財産の拡張の申立て
自由財産として拡張を希望する財産を、「財産目録の自由財産拡張申し立て欄」にチェックして申し立てをする。
2.破産管財人からの意見聴取
(破産管財人:破産手続において財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。)
大阪地裁が策定した運用基準をもとに破産管財人の意見を聴取
◇自動車の運用基準
■自動車は、査定評価額が評価額となる。
しかし、普通自動車で初年度登録から7年、軽自動車・商用の普通自動車で5年以上を経過しており、新車時の車両本体価格が300万円未満であり、外国製自動車でない場合には、損傷状況等からみて無価値と判断できる限り、査定表化を受けることなく0円と評価してよい。
■拡張対象となる自動車は、必ずしも1台に限られるものではない。
3、自由財産拡張の裁判
自由財産拡張の申立てがなされたすべての事件において、破産管財人に意見書の提出を求め、決定書を作成し、送達するという手続きは、時間がかかる点、破産者にとって必要な財産が速やかに返還されないという点等において好ましくありません。
したがって、大阪地裁では、自由財産拡張の申立て内容が運用基準に適用していると破産管理人が判断した件は、意見書を提出することなく、財産を破産者に返還する運用を行っています。
2014.08.21
カテゴリ:自己破産について
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