個人間での貸し借りがある場合
友人や親族、元の勤務先の同僚や社長など、個人の方からお金を借りているという方が自己破産をする場合、自己破産の手続きをするから、といっても、自己破産の制度について詳しくご存じでないケースがほとんどですので、
「数万円だし、破産宣告の前に全額支払ってよ」
「絶対迷惑をかけないというから貸したのに、約束と違う」
「長期の分割になってもいいから返済してほしい」
「借金の一部だけでも返して」
など、個人的に債務者(自己破産手続きをされる方)に連絡が入ることもあります。
その際、ご注意いただかなければならないのは、たとえ友人や親族等で、個人的な結びつきが強い方であったとしても、特別なにか担保をとっている、というような特殊事情がないかぎり、他の債権者(業者など)と平等に扱い、返済をしてはいけない、という点です。
関係が近しければ近しいほど、自己破産をすることを打ち明けたり、借りたお金を返せないと断ることが難しいと感じられるのは当然のことですし、大変心苦しく感じられることかと思います。
しかし、自己破産の手続きにおいて、一部の債権者に返済を行うと、偏頗(へんぱ)弁済といって、一部の債権者を優遇したものとして手続き上問題となり、のちに裁判所によって破産管財人が選任され、返済を受けた債権者に対して否認権を行使することも予想されます。
(否認権を行使するとは、わかりやすく言うと、返済を受け取った個人の債権者の方に対して、受け取ったお金を返せ、という請求が及ぶことになる、ということです。)
そのため、個人の債権者がいる場合であっても、返済をされないようご注意いただく必要があります。
2021.08.03
カテゴリ:その他