自己破産者である間の制限とは?
このコラムでは、「破産者」の立場にある際に、生活にどのような影響があるか、という点についてご紹介したいと思います。
※破産者の立場となるのは、破産の開始決定が出てから免責決定が出るまでの間です。
■ 資格(司法書士・弁護士)に影響があるのか
■ カードを作れるか
■ 住宅ローン組めるか・車のローン組めるか
■ 自己破産者は税金の支払いも免れるのか
■ 投票権はあるか
自己破産者は資格制限があるの?
⇒YES
自己破産の申立てをすると、一定の職業や資格等に制限を受けます。具体的にどのような職業・資格が制限を受けるかというと以下をご参照ください。
◇公法上の資格制限
弁護士 宅地建物取引業者
弁理士 賃金業者
司法書士 旅行業者
公認会計士 警備員
税理士 不動産鑑定業者
社会保険労務士 公安委員会委員
行政書士 公正取引委員会委員
土地家屋調査士 証券会社外務員
不動産鑑定士 生命保険募集員
中小企業診断士
※ここに記載されているものは一部ですのでご注意ください。
◇では一度自己破産すると一生これらの職業に就けない(または復帰できない)のでしょうか
⇒NO
制限を受けるのは、自己破産手続き開始決定から免責決定(復権)を得るまでの間のみです。一生これらの職業・資格に就けないわけではありません。免責決定(復権)を得ると、職業・資格の制限はなくなりますので、ご安心ください。
また、私法上の資格制限も受けます。自己破産者は、株式会社や有限会社の取締役の場合、一度退任しなければなりません(もっとも再度会社より選任されれば、自己破産手続き中でも役員の地位に就く事ができます)。
また、後見人、遺言執行者などにもなれません。
しかし、私法上の資格制限も、免責許可決定が確定し、復権すればなくなります。
自己破産者はクレジットカードを作れるの?使えるの?
⇒NO
自己破産すると、今後数年間は新たに借金をすることや、クレジットカードを作成すること、クレジットカードを使って買い物をすることはできません。
なぜカードを作れないかというと、自己破産の申立てをすると、信用情報機関にその情報が最長で7年間登録されます。金融機関はカード作成時の審査で、この信用機関情報を確認します。ですので、登録されている期間は審査に通らないため、カードを作ることができないのです。
★詳しくはこちら
自己破産者は住宅ローン・車のローンを組めるの?
⇒NO
上記でみたように、信用情報機関に登録されてしまいますので、自己破産後一定の期間は住宅ローンや車のローンを組むことはできません。
自己破産者は税金の支払いも免れるの?
⇒NO
国税、地方税、年金、健康保険料などは、自己破産したとしても免責されません。
★詳しくはこちら
自己破産者に投票権はあるか
⇒YES
自己破産しても、投票権がなくなることはありません。自己破産者にも当然、投票権が認められます。
債務者の免責と復権
◇免責とは
個人の申立てに対して、裁判所が免責許可の決定をすることよって、借金などの債務の支払義務を免れることを免責といいます。
免責の効果は、破産手続と並行して行われる免責手続きにおいて、裁判所から免責許可決定を受けることにより発生します。
★免責不許可事由詳しくはこちら
◇復権とは
自己破産の開始決定を受けると、自己破産者は各種の資格や権利について一定の制限を受けることになります。例えば、公法上の制限として、破産者は弁護士、公認会計士、税理士等になることができませんし、私法上の制限としては、後見人や遺言執行者の資格が認められないということがあげられます。それらの制限を消滅させて、自己破産者に本来の法的地位を回復させることを復権といいます。(255条2項)
免責許可の決定が確定し復権すると、職業・資格の制限から解放されるので、有資格者は業務を再開することができるようになります。
2014.09.02
カテゴリ:その他